冬言響 / 日記

アメコミとか映画とか音楽とか猫とか単車とか自転車とか革とか銀とかジーンズとかブーツとか今日喰ったものとか。

RSS2.0

ニポンノー、エスエーフー

日本人作家の SF も読んでみたいと思いつつもどんな作家がいるのか個別に調べてもピンと来なかったのだけどハヤカワ SF シリーズ J コレクションというレーベルがあって背表紙で探しやすいので適当にいくつか読んでみた。

山本弘『地球移動作戦』。目に見えない鏡像物質ミラーマターで出来た巨大天体(地球の 620 倍)が地球に接近、すぐ近く(たったの 42 万 3,000 キロ)を通過することが判明。ミラーマターは通常物質とほとんど相互作用しないのでミサイルとかをぶつけて軌道を逸らすことも石油掘削員を送り込んで爆弾を埋めて爆破することも出来ない。でも重力だけは相互作用するのでそのままだと非常にマズい。残された時間は 24 年。さあどうにかしよう、というプロットを柱に人口意識コンパニオンやらなんやらの SF ガジェットが登場。

作中で登場人物が放射線障害で死亡したり重力のアレで地震が発生して日本が津波に襲われるとかのシーンがあるのだけど最初に単行本が出たのは 2009 年。その後 2011 年の 5 月に文庫版が出るはこびになったのだけどエラいタイミングで 3 月のアレがあったりして文庫版の印税は全額寄付されることになったとかなんとか。まあ出版中止とかの誰も全く塵芥ほども得をしない事態にならなくて良かった。面白いので読むと良いよ。

ちなみにそのことを告知する著者のブログの当時の記事のコメント欄がなかなか香ばしいことになってる。このひとたち今なにしてるんだろーなー。

[Amazon]地球移動作戦 (上) (ハヤカワ文庫JA) [新書] [Amazon]地球移動作戦 (下) (ハヤカワ文庫JA) [新書]

読んだのは単行本だけど文庫版を貼ってみんとす。安いし。

山本弘『まだ見ぬ冬の悲しみも』。短篇集。加速能力を持つサイボーグの戦闘を徹底的に科学的に検証して描写したヒーローアクションだとか既存の作品とは一味違ったタイムパラドックスを扱った作品とか。言語文明の話と不確定性原理の話が面白かったです。短編 1 本追加して表題を変更した文庫版が後に出てるので買うならそっち買うと良いよ。

[Amazon]シュレディンガーのチョコパフェ (ハヤカワ文庫JA) [文庫]

表紙イラストは単行本のが大人しい。

八杉将司『Delivery』。『銃夢』みたいな話だなー、と思ってたら最後の最後で 100 億年ぐらいかけて新しい宇宙創造しよった。何を言ってるかわかんねーと思うが(ry。最初の章の雰囲気のままで最後まで行って欲しかったけどまあこれはこれで。

[Amazon]Delivery (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション) [単行本]

あとハヤカワ関係無いけど森博嗣「スカイクロラ」シリーズ。押井版観てから機会があったら原作読もうと思いつつ 4 年半経っちゃったぜ。短篇集も含めて全 6 冊。出版順だと『スカイクロラ』が最初だけど時系列的にはこれが一番最後に来るそうな。書いてあることを額面通りに受け取ってるといろいろと矛盾が生じるので時間がループしてる説とか名前が同じでも同一人物とは限らない、とくに草薙は一人称が「私」と「僕」で別人説を脳内で唱えたりしてたのだけどきちんと精査してちゃんと検証してるひともいるので検索とかすると良いと思う。押井版は『スカイクロラ』を原作としてるけどあれだけで完結してる。そこから派生したゲーム版は原作の設定を色々拾ってる様子。

[Amazon]スカイ・クロラ (中公文庫) [文庫] [Amazon]ナ・バ・テア (中公文庫) [文庫] [Amazon]ダウン・ツ・ヘヴン (中公文庫) [文庫] [Amazon]フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life (中公文庫) [文庫] [Amazon]クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫) [文庫] [Amazon]スカイ・イクリプス―Sky Eclipse (中公文庫) [文庫]

全部読むのがしんどいひとは 1 冊目にして最終巻の『スカイクロラ』だけ読めば良いとかそんなことを著者が言ってた。