冬言響 / 日記

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スティーヴン・バクスター『プランク・ゼロ』読了

この本と続巻『真空ダイヤグラム』の 2 冊の「ジーリー・クロニクルズ」でひとまとまりになってるのかと思ったら、他にも何冊か加わるかなり壮大なシリーズらしい。ので、ジーリーやら他の強力な種属が出てくる後半の話よりも、前半のまだ人類が恒星間航行手段を手に入れる前の「こじんまりした」話の方が差し当たっては面白かった。

大昔の火星人とか金星人とか普通に出てくるような SF と比べると、ある程度最近の SF では太陽系内に生命体が居るのは地球だけで、異星生命というのは余所の星系から来るものなのだけど、この物語では太陽系内にも以外と生命が居るらしい。水星の地下から、星系外縁の氷の塊まで、それぞれの世界にそれぞれ生命体が居て、それぞれの環境に適応した身体構造とか生態系とかを持っている。

まずはその生命体主観の、読者には最初何だか良く判らない描写。次に、その世界を訪れた人類側の描写。この 2 つが交互に描かれ、やがて人類がその生命体の存在に気付く。「こんなところに生命体が居るなんて! こんな事が公になったら保護団体が騒ぎ出していろいろ困るよ!」と、だいたいそんなパターンの話が 3 つ 4 つ。見事に話の流れが同じなので最後の方は軽く苦笑が漏れたりするのだけど。

続巻を読んだあと、他の「ジーリー・シリーズ」にすぐ手を出すかは謎。『啓示空間』の続編も読みたいしなあ。

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