冬言響 / 日記

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時雨沢恵一『キノの旅 The Beautiful World』

あっちで何巻、こっちで何巻、みたいな具合で多少前後しつつも『キノの旅』 16 巻までと『学園キノ』 1 巻だけ読みました。ついでに『アリソン』を 2 巻まで。

んで、『キノ』。最初に出た当初に 2 巻ぐらいまで読んだ記憶はあるのだけどいつの間にか随分続いてたんやねえと。20 巻から宇宙編って話があったけど普通に 20 巻まで届いちゃいそうなんだがどうするんだろうか。

感想というか思ったことというか気になったことというか。9 巻収録の「記録の国」。何度も生まれ変わりを繰り返しているという死ねない男がいて、それは人が死んだ直後にその記憶を取り出して別の人間(子供)に移すという不死への挑戦が創りだしたシステムの実験によるものだったという話。なのだけど、それは単に同じ記憶を持った別人が複数生まれるってだけであり記憶を受け継いだ人間が「自分は永遠に生きている」と錯覚することは出来ても本質的な意味での「不死」ではない、ということでキノもエルメスも実験をしている科学者も(「死ねない男」本人にはこの実験のことは伏せられている)自明のものとして合意してしまっていること。

完全に記憶が引き継がれていて何よりも当人がそれを自分の記憶と認識してるんであればそれはもう不死ってことで良いんじゃないかなあと俺は考えている。俺がそう考えているからそれが正しくてそれ以外は間違いであるなんて電波を飛ばそうってわけではなく、一つの考えとしてそれほど特殊なものでもないと思うし、作中に同じ考えを持つ人間が登場しなくちゃ駄目とも言わんけど、「一つの考えとして不死であると言っても良いんじゃないの」ぐらいのことを例えばエルメス辺りが言っても良かったんじゃないかと。

『キノ』の世界には明確な形での「魂」の存在の有無は明言されていない(死者の霊っぽいものの存在は示唆されているけどそれは生きている人間が死者の存在の継続を認識しているだけであってイコール魂が存在することの根拠にはならない。死者の視点で物語が描かれることがあれば認める)のでその辺り公平に扱って欲しかったニャア、と。

そう扱って欲しかったニャア、と俺がそう思ってるってだけの話であってそう扱わなきゃ駄目ってわけじゃないからな? いいな? な?

そんだけ。

[Amazon]Amazon.co.jp: キノの旅〈9〉the Beautiful World (電撃文庫): 時雨沢 恵一, 黒星 紅白: 本

あ、あと 9 巻といえば「あとがき」はまず「とうとうやりやがったか」とおもってそのあと「ていうかまだやってなかったのか」とおもいました。まる。