冬言響 / 日記

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夢枕獏

最近、でもないかも知らんけど夢枕獏の小説をいくつか読んだのでまとめて。

『獅子の門』7 巻まで。やってることは概ね『餓狼伝』と同じなんじゃないかという気もするけど『餓狼伝』とは別ユニバースを舞台とした格闘小説。『餓狼伝』は主人公の丹波文七がいて強さは割りと強い方だけどそれより強いキャラクターも何人か居てその頂点に松尾象山とグレート巽っていう 2 人の最強が居て多分最終的には文七がそのクラスまで登ってくっていう割とよくある構図。対して『獅子の門』の方はまず主人公が経歴も性格も異なる 4 人の少年でそれぞれに格闘の世界に入っていって、彼らに関わる形で羽柴彦六と久我重明っていう対となる 2 人のやはり最強が居るのだけど、象山&巽と比べるとポジションというか視点というかが割りと主人公に近い。あんまり見ないキャラクター配置。別作品なんだから単純に比べてもアレだけど強さは象山=巽=彦六=重明 > 文七 > 『獅子』主人公 4 人、という具合だろか。

重明が板垣恵介版の『餓狼伝』にも登場してることで主に俺の中で有名。原作では萩尾流という古武術の使い手であるのに対して『餓狼伝』では「闇の空手家」とされてるのでクロスオーバーというよりもスターシステム的なアレだけど。Wikipedia によると原作が 3 巻まで出たあと間が空いてる間に板垣恵介が重明を『餓狼伝』に出してそれを気に入った夢枕獏が『獅子の門』も漫画化して欲しくなって原作 4 巻以降のイラストを板垣恵介が描くようになったそうな。後に 3 巻以前もイラスト付きで再版。

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『東天の獅子 天の巻・嘉納流柔術』全 4 巻。コンデ・コマこと前田光世の話を書くつもりでいたら前日譚だけでかなりの分量になってしまったで御座る。嘉納治五郎が天神真楊流と起倒流を学んで柔道を創始するところから後に講道館四天王と呼ばれる 4 人を始めとする武術家たちが集まってきたり警視庁武術大会があったり色々あって西郷四郎が出奔して津軽で前田栄世(後の光世)と出会うまでを描く。

基本的には様々な調査を元に史実に沿って書かれてはいるけど物語としてそれなりの創作も含まれてると思われ。作中でも時々述べられてるのだけど諸々の資料とか第二次大戦の大空襲なんかでいったん焼失してて後に関係者の記憶やなんかから再構築したものを元にしてるので、警視庁武術大会の詳細とかも資料によって食い違いがあったりするそうな。まあ司馬遼太郎の小説読んで幕末について勉強する程度には当時の武術史とかが学べると思う。

読んでる間とくに講道館四天王の脳内ビジュアルイメージが藤原芳秀・画の『コンデ・コマ』だったけどそんなに間違ってはいないと思う。

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『陰陽師』11 巻ぐらい? まで。ちょっと前に映画がテレビでやってたから、という訳ではなくもないのだけど(どっちよ)。基本一話完結で安倍晴明と源博雅がホームズとワトソンよろしく平安京で起こる様々な怪異を解決する。長編も『生成り姫』と『瀧夜叉姫』(上下巻)の 2 編があり。

「ゆこう」

「ゆこう」

そういうことになった。

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