冬言響 / 日記

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ぼくのかんがえたレンズマン

『レンズマン』シリーズをぱらぱらと読んでいて、ふと『インファナル・アフェア』を元ネタにしたスピンオフストーリーを思いついてみたりしたのでちょっと書き殴ってみんとす。『レンズマン』を知らないとワケワカメと思われるので注意のこと。

ひとりの銀河パトロール隊候補生が居た。仮に名前をレオンとする(ディカプリオでも可)。概ね順調に訓練を重ねていくが、ある時点で基準に達する成績を出すことが出来ず、レンズマンへの道を絶たれることとなる。が、彼の持つ資質に目を付けた司令官のひとりが、彼に非公式の指令を持ちかける??ボスコーン組織への潜入捜査である。いくつかの試練を乗り越え、やがてレオンは末端組織のひとつへの潜入に成功する。

同じころ、ボスコーンの組織のひとつに所属する若い構成員たちが、スパイとして銀河パトロール隊組織へ潜入を試みる。ほとんどは選抜試験に通ることも出来ず、わずかに残った数名も資質上の不適格を指摘され、次々と脱落してゆく。だがそんな中ひとりだけ、スパイという目的を見破られることなく、遂にレンズマンの資格を得るに至った若者が居た。彼の名はラウ(仮)(もしくはデイモン)

レンズを与えられたラウは、しかしそれを身につけることはせず絶縁ケースに入れたまま、自身の捜査能力のみを用いてパトロール隊としての活動を行い??その裏で組織に情報を送り続ける。ラウがレンズを身につけない理由は、人間の試験官たちの目を欺くことはできても、自分が実際にはスパイでありレンズマンたる資格を持つ人間ではないという自覚があるから。

生まれ育った環境故にボスコーン組織に属さざるを得なかったラウであるが、彼の本質的な性質は「正義」であった。パトロール隊として活動していくなかで、いつしか「善人」になることを望むようになるラウ。だがスパイ活動を辞めることも出来ない。二律背反に苦しみつつも、(ボスコーン組織にとって決定的な不利益とはならない範囲で)精力的に仕事をこなす彼は、やがて「レンズレスレンズマン」と呼ばれ、一定の評価を得るようになる。

一方、ボスコーン組織で順調に出世を重ねるレオン。海賊としての活動、パトロール隊に追われる日々。挫けそうになる心を支えるのは、自身もまた非公式とはいえパトロール隊の一員であるという誇り??それは決して口にすることは許されない秘密。

偶然からパトロール隊やボスコーン組織とは無関係の場所で知り合う二人。互いの立場を知らぬまま、相手の高潔な人格に尊敬を抱き、友情を深めてゆく。

身内にスパイがいることに感づき始めつつも、それが誰なのか決定的に特定することが出来ないパトロール隊とボスコーン組織。やがて両者は、正面から衝突することとなる。

戦闘の中、敵同士の立場として再会するレオンとラウ。一度は対立するも、やがて両者とも本質的には同じ側に属することを知り、手を結ぶ。レオンは課せられた任務を果たすために。ラウは過去と決別し、「善人」としての道を歩むために。

レオンから見たラウは、彼にとって理想である「真のレンズマン」そのもの。そうありたいと望みつつも、しかし遂に叶うことの無かった姿。一方ラウにとっては、自分自身とは真逆の立場でありながらしかしその本質たる「正義」を失わないレオンは、むしろ彼こそが「レンズマンたるに相応しい」と言える姿であった。

二人の活躍により、遂にその星系におけるボスコーン組織は壊滅する。だが崩れゆく基地の中で、通信機を持たない状態で閉じこめられてしまう二人。そのうえ、ラウが負傷を負い、意識を失ってしまう。

パトロール隊のデュオデック爆弾による一斉攻撃が始まるまであと数分、絶体絶命の状況の中、レオンは考える。ラウが絶縁ケースに入れて携帯しているレンズ、これを使えば、パトロール隊と連絡を取れるのではないか。無論、そのレンズはラウの生命パターンと適合するよう調整されたレンズであり、それ以外の者が触れればたちどころに死がもたらされることとなるが、それでも、自分が死ぬまでの一瞬の間だけでも思考を周囲に飛ばすことが出来、誰か他のレンズマンがそれを受け取ってくれれば、ラウだけでも生かすことが出来るのではないか。目の前に倒れているのは自分を犠牲にすることになってでも助ける価値のあるレンズマンではないか。

ほんのわずかな躊躇の後、ラウのレンズを手に取るレオン。だが、予測された死がもたらされることはなく、その思考を受け取ったレンズマンからすぐに救助に行くという返信が来る。

なぜ、自分が死なないのか。救助を待ちつつその疑問を胸中で反芻するレオンに、突然これまで感じたことの無い深みのある思考が触れた。アリシアの導師だ。

「レオンよ、自分のものではない筈のレンズに触れながら、しかし何故に死がもたらされないのか、というお前の疑問に対する答えは、非常に簡潔なものである。何故なら、ラウが訓練の終了と共に受け取り、しかし自身で身につけることはせず、今日までずっと絶縁ケースに入れたままでいたそのレンズは、レオンよ、元々お前の生命パターンに適合するように調整された、お前のためのレンズだからなのだ。宇宙万有の心象化により、ずっと以前からお前やラウのような人間が現れ、どのように思考し、行動するか、我々には自明であった。であるから、我々は今このときのために、お前のためのレンズをラウに持たせていたのだ。
「レオンよ、繰り返すが、そのレンズはお前のためのものだ。受け取るが良い。ただし、通常レンズマンは訓練を終える前に一度だけアリシアを訪れるが、お前はその過程を経ていない。負傷を癒し、準備が整い次第、お前はすぐに惑星アリシアを訪れなければならない。そこでお前に渡すものがある」

「渡すもの? このレンズ以外にあなたから受け取るべきものとは、いったい何なんでしょうか?」

「ラウの、今度こそラウの生命パターンに適合させた、ラウのためのレンズだ」

これが、やがて第二銀河系の各地で活躍することになる二人組のレンズマンの、最初の物語である。

完。

こんな具合で。後半『インファナル・アフェア』はあんま関係無くなってきた気もする。

とりあえずトニー・レオンとアンディ・ラウに相当するメインキャラクター 2 人しか居ないのだけど、アンソニー・ウォンとエリック・ツァンに相当するパトロール隊/ボスコーン組織双方の上役キャラクターぐらいは作ってプロットに組み込むべきかなー、とか。

「友情を深めてゆく」とか「自分を犠牲に」とか、自分で書いててなんかホモくせえな、とか。

時代設定はまあ『サムライ・レンズマン』なんかと同じクロヴィアの戦い以後が無難か。んでレオンの正規レンズマン任命を銀河調整官キムボール・キニスンの鶴の一声で認めさせてしまうとか、助けに来るレンズマンをビル・モーガン辺りにしてしまうとかして本編や『サムライ』とリンクさせてみるのも一興かな、とか。

いや、別にちゃんと作品に仕上げる予定とかは無いけど。まあ睡眠不足の変なテンションで書き殴った謎文章ということでひとつ。後で消すかも知らん。

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