冬言響 / 日記

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長田龍太『中世ヨーロッパの武術』

という本を書店の新刊コーナーで見かけて買い。無きゃ困るわけでもないうえに 2,800 円もする本を衝動買いしてるような余裕は正直今あまり無いのだけど、見つけてしまったので仕方ない。Truth In Fantasy シリーズで有名な新紀元社から出た、中世ヨーロッパの剣とか槍とかポールアックスとか使った戦闘法に関する解説本。当時の剣とか鎧とかの種類やなんかを解説する本てのは Truth In Fantasy シリーズをはじめ以前からあったけど、具体的な運用法に関する本ってのは無かった。この本が、序文によるとおそらく日本初とのこと。

例えば日本だと北辰一刀流だとか薩摩流だとかいろいろ「流派」があって技術もそれなりに伝承されてるもんなのだけど、ヨーロッパの武術についてはあんまそのテのものを聞かない。ナントカスタイルとか、流派があったりしないのかな、と前々から疑問に思ってたのだけど、やっぱり一応あったはあったらしい。ただ主流となる武器が例えばロングソード→レイピアのように切り換わる度に古い技術が失伝してしまってるのであんま残ってないのだそうな。例えば現在最も研究されているのがヨハンネス・リーヒテナウアーによって創始されたリーヒテナウアー式、またの名をドイツ式武術(語呂の良さからこう呼ばれるがドイツにはもちろん他にも伝統武術があった。が、ほとんど記録が残っていない)というのだそうで、まあこんな具合でやっぱちゃんと名前と技術体系があったんだろうなあと。

もっと「○○によって創始された○○式はどこそこで伝承されてて剣の攻撃にこんな特徴があります、??の??式は槍とスタッフの扱いが中心で云々」みたいな流派が色々載ってる解説書だったら良かったなあと思ってたんだが、どうもそのテの細かい部分は失伝されてるのでタイムマシンでも発明されない限りは難しそう。書いてあることのほとんどは具体的な運用法で、例えばロングソードなら構え(『屋根』の構え、『雄牛』の構え、『鋤』の構え、『愚者』の構え、『突き』構え、『冠』の構え、『真・鉄の門』の構え、『憤怒』の構え、『鍵』の構え、『双角』の構え、の 10 種類)とか技(片手突き、「憤撃」、「憤撃」によるカウンター、etc...といった具合)とか、あとはコラム的な文章とかが載ってる。まあ読み物としてそれなりに面白いかな、と。

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